役員・従業員への貸付利率は毎年見直しが必要
日本銀行は令和8年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を従来の「1.0%程度」から「1.25%程度」に引き上げることを決定しました。
今後も政策金利が変更される可能性があり、会社が役員又は使用人(従業員等)に金銭を貸し付けた場合の利率にも影響を与えます。
今回は、役員・従業員への金銭貸付けに関する「税務上の取扱い」と「貸付利率の最新基準」について分かりやすく解説いたします。
無利息や低い利率での貸付けは「給与課税」の対象
会社が役員又は使用人(従業員等)に金銭を貸し付けた際、一定の利息相当額を従業員等ではなく会社が負担した(無利息または低利で貸し付けた)ときは、原則として給与課税の対象となります。
この場合の利息相当額は、以下の基準により算出します。(詳細は下記3.参照)
(1)会社が他から借り入れて貸し付けた場合:その借入金の利率
(2)その他の場合:貸付けを行った日の属する年に応じた利率(令和8年中は年1.3%)
給与課税の対象外となるケース
従業員等に無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合であっても、次の(1)〜(3)のいずれかに該当するときは、例外的に給与として課税しなくてよいとされています。
(1) 災害・病気等の臨時資金
災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった従業員等に、その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
(2) 合理的な貸付利率の設定
会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって従業員等に対して金銭を貸し付ける場合
(3)利息差額が年間5,000円以下
(1)および(2)以外の貸付金の場合で、一定の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が1年間で5,000円以下である場合
新規貸付をする際の利率は「毎年見直し」が必要
従業員等に貸し付けた金銭の利息相当額は、その金銭が会社が他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合にはその借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の「租税特別措置法第93条第2項(利子税の割合の特例)」に規定する利子税特例基準割合による利率により評価することとされています(所基通36-49)。
(1)利子税特例基準割合の仕組み
各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における短期貸付けの平均利率の合計を12で除して計算した割合として、各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する「平均貸付割合」に、年0.5%の割合を加算して算出します(措法93②)。
(2)令和8年の適用利率
令和8年の平均貸付割合は、令和7年11月28日付け財務省告示305号により「年0.8%」とすることが告示されました。したがって、令和8年中に行う貸付けの利息相当額の計算上用いる利率は 「年1.3%(=0.8%+0.5%)」 となります。
会社としての対応
今回の政策金利引き上げや利子税特例基準割合の改定に伴い、令和8年中の役員・従業員向け貸付金の基準利率は1.3%に引き上げられています。会社としては年度ごとを目安に下記の対応を行うことをおすすめいたします。
(1)自社の社内貸付制度や役員貸付の利率設定が最新基準を満たしているか確認する
(2)低利貸付け等による給与課税リスクが発生していないか点検する
(3)基準利率は毎年変動・見直しが必要であることを把握しておく
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