相続株式の売渡し請求

投稿日2007.02.08

昨年5月に施行された会社法では、自己株式取得の一環として「相続人等に対する売渡しの請求」(会社法第174条~第177条)が新たに設けられました。
今回のFAX NEWSではその内容と、具体的手順についてお伝えいたします。

(背景)

従前の商法では相続人から自社株式を回収する手段はなく、あくまでも相続人との交渉により譲受けるしかありませんでした。そのため創業者が亡くなったり、あるいは自社株式を保有している役員や従業員が亡くなったりした時には、自社株式は、経営にタッチしていない相続人に相続され、結果的に会社の好まぬ者に承継されてしまうことがありました。
そのため、会社法では会社が相続人に対し自社株式を強制的に売渡し請求することを可能としました。

(前提条件)

1. 当該株式が譲渡制限株式であること。
2. 定款に「相続人等に対し売渡し請求することができる」旨が定められていること。

(手順)

1. 株主総会(臨時総会でも可)の特別決議により次の事項を定めます。この場合、相続人の株式には議決権がなく、且つ定足数にも算入されません。
    (1)売渡し請求する株式数 (2)売渡し請求先の相続人の氏名
2. 売渡し請求を実行します。(売渡し請求できるのは、相続があったことを知った日から1年以内に限ります)
3. 売買価格について、会社と相続人で協議します。(買取価額の上限は「分配可能額(旧配当可能利益)」です。それを超える額は業務執行者が負担します。)
4. 3の協議が不成立の場合は、会社又は相続人は売渡し請求の日から20日以内に裁判所へ売買価格決定の申立てをします。(20日以内に裁判所へ申立てがない場合は売渡し請求は無効となります)
5. 売買が実行され、会社は相続人から自社株式を取得します。

本制度のメリットは、相続による自社株式の分散防止又は好ましくない者への承継防止です。しかし、本制度はオーナー自身の相続にも同様に作用しますから、オーナーの他に一定の株式を所有する共同経営者等がいる企業にあっては、オーナーの相続のときに共同経営者側から売渡し請求権が行使され、オーナー一族が締め出される可能性もあり注意が必要です。
なお、売買価格は、通常、税法の評価通達を斟酌し決定されます。
詳細は当税理士法人までお尋ね下さい。 

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