不動産価格と利回りの関係
国土交通省が平成20年11月21日に公表した「主要都市の高度利用地地価動向調査(08年第3四半期)」によると、前期までみられた地価上昇地区は姿を消し、調査した150地区全てが横ばいまたは下落に転じ、下落地区が全体の85%を占めるなど、未曾有の金融危機による景気の冷え込みが、不動産価格に大きく影響しているようです。今回のFAXNEWSでは、「不動産価格と利回りの関係」について考察してみたいと思います。
不動産の価格を査定するとき、以下のような公式を用いることがあります。
収 益 ÷ 期 待 利 回 り ≒ 価 格 |
単純に先の公表事実をこの公式に当てはめると、収益が減少すると価格は下落します[収益↓÷期待利回り≒価格↓]。
また、期待利回りが上昇すると価格は下落することがご理解頂けると思います[収益÷期待利回り↑≒価格↓]。
まとめ
これまで高水準で推移してきた都心のオフィス賃料等も横ばいから下落傾向に転じ、収益も下落しています。また、直近の不動産投資家調査もみても、投資対象不動産の期待利回りは軒並み上昇しているとされています。
最近の不動産価格の下落を上記公式にあてはめると、「景気低迷によりビルの空室率が上昇・賃料が下落することにより、分子の収益が低下し、価格は下落します。」また、「金融危機による信用リスクの増大によって、分母の不動産に求められる期待利回りが上昇し、価格は下落します。」というように分析できます。最近では、「収益の低下」と「期待利回りの上昇」が同時に生じているため、不動産価格の下落率は大きいようです。
もちろん上記の公式はあくまでも価格査定の一例に過ぎませんが、不動産価格と利回りの考え方の参考になれば幸いです。
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(文責-横須賀 博)
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